「鰹だし」で抗がん剤の副作用を予防 血管を拡張する作用を確認

 日本古来の食品である鰹だしが、肝臓がんの治療に使用される抗がん剤の副作用である「手足症候群」を抑える効果があることが、新潟大学の研究で明らかになった。

鰹だしには血管拡張効果がある

 進行肝がんに対する分子標的薬である「ソラフェニブ」は、より長く内服を継続することで、進行性肝臓がんの患者の生命予後を延長する効果を期待できる。一方で、副作用のコントロールが課題となっており、中でも「手足症候群」は、ソラフェニブを内服する患者の約半数が発症することが知られている。

 手足症候群は、抗悪性腫瘍薬の副作用として手や足の皮膚が障害される疾患。手のひらや足の裏が赤くなったり、みずぶくれになったりするため、生活に支障をきたすことがある。抗がん剤の内服中断は予後や生活の質に影響を与えることから、効果的な対策が求められている。手足症候群発症は、抗がん剤によって血管が障害された結果、血流が悪くなって起きる副作用であることが解明されている。

 一方で、日本古来の食品である鰹だしには、血管拡張効果があることが報告されている。研究チームは、鰹だしを摂取することで、末梢の血流を維持でき、手足症候群の発症予防に効果的ではないかと考えた。

鰹だしがソラフェニブの副作用を軽減

 そこで研究チームは、ソラフェニブを服用している患者に鰹だしを摂取してもらい、手足症候群の発症を制御したり症状を軽減できる効果を得られるかを検討した。

 ソラフェニブを内服するために入院した患者に、鰹だしを飲用してもらい、末梢血流量の変化、手足症候群の発症について経過観察した。エコー検査を行った結果、手足症候群を発症した患者では、手足の温度、眼底血流などが低下することが明らかになった。

 一方で、鰹だしを飲用した患者では、血流低下が起こりにくく、手足症候群の発症が少ないという結果になった。このことから、日本古来の食品である鰹だしの血管拡張効果によって、手足症候群の発症が抑えられたことが示された。

 さらに、血管が蛍光で光るメダカを用いて、鰹だしの成分である「ヒスチジン」の効果を検証した実験でも、メダカ尾ひれの血管が拡張し、ソラフェニブによる血管障害を軽減することを確かめた。

 今後は、本研究成果に基づいた手足症候群の発症予防を推進するとともに、ヒスチジンのサプリメントなどによる予防を含めた新たな治療法の開発を進めるという。

 研究は、新潟大学大学院医歯学総合研究科の上村顕也氏、寺井崇二教授らによるもので、医学誌「Cancer Management and Research」および「Biochemical and Biophysical Research Communications」に発表された。

新潟大学大学院医歯学総合研究科
Effective Prevention of Sorafenib-induced Hand-Foot Syndrome by Dried Bonito Broth(Cancer Management and Research 2018年4月17日)
Effect of histidine on sorafenib-induced vascular damage: Analysis using novel medaka fish mode(Biochemical and Biophysical Research Communications 2018年2月)