産業医の8割が「メンタルヘルス不調・過労対応に自信がない」

 約9割の産業医がストレスチェックのメンタル不調・過労の改善への効果を実感しておらず課題が多いことが、メドピアが医師専用コミュニティサイト「MedPeer」に参加する産業医500人を対象に実施したアンケート調査で浮き彫りになった。

ストレスチェック施行から2年

 仕事の量・質の原因を中心に、仕事において強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は半数を超え、精神障害に係る労災請求件数も年々増加しているなど、職場でのメンタル不調や過労の問題が深刻化している。これらの課題を軽減するために、労働者自身がストレスに気づき、適切に対処できるよう、事業者が積極的なメンタルヘルスケアの推進を行い、早期発見ができる環境や仕組みを作ることが重要だ。

 2015年12月には、従業員50名以上の事業場でのストレスチェック実施が義務付けられた。こうした流れの中、メドピアは、労働者の心身の健康管理を担う産業医が、メンタル不調や過労への対策に現状どのような課題を感じているのかを探るため調査を行った。

 回答した産業医の7割が非常勤で、非常勤産業医の1社あたりの平均勤務時間は、1ヵ月2時間未満が最多だった。業務として占める割合は、「衛生委員会への参加」「月1回の職場巡視」「健康診断の結果確認」が上位を占めた。従業員との面談や相談対応に時間を割けられていない現状が浮き彫りになった。

「時間」「専門性」「相談しにくさ」に課題

 約半数の産業医は、メンタル不調や過労による相談、休職・退職の増加を感じている一方で、メンタル不調や過労の早期発見・対策に十分な役割を担えていると感じている産業医は約2割にとどまった。

 自信がない8割の産業医からは、精神科分野での専門性や時間の不足を理由とする声が多く、精神科ではない医師の半数以上が「メンタル不調者の対応に困ることがある」と回答。理由としては、専門外なためうつ病など精神疾患への的確な判断・対応が難しいとの声が多かった。

 「従業員のメンタル不調や過労の早期発見と対策に十分な役割を担えている?」という質問に対し「そうは思わない」と回答した産業医からは、「従業員と接触し、会話する時間がない」「月1回の訪問では早期発見は不可能」「非専門で自信がない」「休業の診断書が出て、はじめて知ることが多い」といったコメントが寄せられた。

 「専門が精神科でないことで、「メンタル不調や過労の従業員への対応に困ることがある」と回答した産業医からは「うつ病、それも新型うつ病などを的確に診断できる自信がない」「精神科の診断がないと状況や予測が立たない」「職務復帰までの期間の見極めが難しいことがある」といったコメントが寄せられた。

約9割が改善を実感できず 第三者の相談窓口との連携を要望

 さらに、約8割の産業医が「メンタル不調や過労にもっと早く介入できれば良かったと感じることがある」と回答。メンタル不調や過労の相談を受けるきっかけは、「上長や周囲からのアラートを通じて」が最多で、「本人からの訴えが少ない。産業医と従業員の間に立つ人がいない」「本人が症状の原因がメンタルなものではないと思っている」と実感しており、メンタル不調への早期介入に限界があると考えていることが明らかになった。

 結果として、約9割の産業医がストレスチェックのメンタル不調・過労の改善への効果をまだ実感しておらず、約8割の産業医が産業医に限らず従業員が気軽に健康相談を行える場が必要だと考えていることが示された。多数の産業医は、メンタル不調・過労対策に対して第三者の相談窓口との連携を要望している。

 メドピアの連結子会社であるMediplatは、従業員のメンタルヘルス対策および健康増進を目的に「first call」を法人向けに展開している。「first call」は、自身や家族の健康上の不安や悩みについて、チャットやテレビ電話を使って医師に相談ができるオンライン健康相談サービス。個人ユーザーに加え、企業にも従業員のメンタルヘルスや健康増進の対策として利用されている。

メドピア
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