厚労省が過労死等防止対策白書を公表~現状や調査研究結果を報告

 厚生労働省はこのほど「平成29年版過労死等防止対策白書」を公表した。過労死等の現状や防止対策の取り組み状況のほか、実体解明のための調査研究結果について取りまとめている。

 「過労死等防止対策白書」は過労死等防止対策推進法(平成26年成立・施行)に基づき、国会に報告を行う法定白書で、今回が2回目の報告になる。「過労死等」とは業務における過重な負荷による脳血管疾患や心臓疾患を原因とする死亡、または業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺、死亡、または脳血管疾患、心臓疾患、精神障害のことを指す。

 長時間にわたる過重な労働は疲労の蓄積をもたらし、過労死等の最も重要な要因になっている。白書では労働時間の状況について、パートタイムを含む労働者1人あたりの年間総実労働時間はゆるやかに減少しているものの、パートタイム労働者を除いた一般労働者だけで見ると、年間2,000時間前後で高止まりしている、と報告。

 「1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合」は平成15、16年をピークとしてゆるやかに減少しており、平成28年は429万人(7.7%)で対前年比21万人の減少だった。「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では平成32年までに週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としており、より一層の労働時間削減が求められる。

 「1週間の就業時間が60時間以上の雇用者の割合」を性別、年齢層別で見ると、40歳代男性が15.2%、30歳男性が14.7%と高い結果を示している。業種別では、運輸業・郵便業が18.1%、教育・学習支援業が11.1%、建設業が10.6%の順に多い。また、企業規模が小さくなるにしたがって割合が高くなる傾向も見られている。

 また年次有給休暇取得率については、大綱で平成32年までに70%以上とする目標を立てているが、平成12年以降、5割を下回る水準で推移しており、平成27年は48.7%だった。

 同様にメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合については、平成29年までに80%以上が目標とされているが、平成27年で59.7%にとどまり、特に規模が小さい事業所ほどその割合が低い。

 一方で、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は50%以上を超えており、特に「仕事の質,量」が原因になっている。職場での「いじめ,嫌がらせ」に関する相談受付件数も、平成28年は70,917件と過去最多だったことから、職場でのメンタルヘルス対策が急がれる。

 過労死等の状況について、民間雇用労働者で脳と心臓疾患に対する労災の補償状況を見ると、平成28年の請求件数は825件、支給決定件数は260件(うち死亡107件)だった。業種別では、請求件数、支給決定(認定)件数ともに「運輸業,郵便業」が最多になっている。

 平成28年の精神障害に係る請求件数は1,586件、支給決定件数は498件(うち死亡84件)。業種別で最多だったのは、請求件数では「医療,福祉」、支給決定数では「製造業」だった。

 白書では「過労死等をめぐる調査・分析結果」や「過労死等の防止のための対策の実施状況」についても詳細に記載。過労死をゼロ西、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいく考え。

報道発表「平成29年版過労死等防止対策白書」を公表します(厚生労働省)